医療法人・MS法人設立

法人化の「メリット」

皆さんは個人事業から法人化を何度か考えたことがあるかもしれません。
しかし、どんなメリットがあるのかをご存知でしょうか?
まずは医療法人、MS法人(メディカルサービス法人の略称)それぞれのメリットをご紹介します。

メリット①

法人化で高い税率が回避できる

個人事業だと超過累進税率が適用されるため、所得が上がるにつれ高い税率で所得税・住民税が取られてしまいます。しかし、医療法人化により、親族への所得分散が図られ、結果、院長先生の税率が下がり、可処分所得(手取り)が増加します。

また、個人事業では、「売上-経費=所得」に対してダイレクトに高い税率がかけられますが、医療法人化することにより、院長先生たちは、この所得を給与でもらうことになります。そうすると、給与でもらう場合は給与所得控除というものが受けられ、さらに節税となります。
また、理事長報酬として数名のご家族を役員に加入してもらい、所得分散を図ることもできます。このようにするだけで大きく節税することができます。
この仕組みを図解すると次のようになります。

個人事業 医療法人で給与
売上
100
経費
60
経費
60
売上
100
所得
(課税対象分)
40
給与所得控除
15
給与
40
(課税対象分)
25

医療法人化により、同じ所得でも医療法人で給与をもらうことにすると、給与所得控除が「15」受けられ、課税対象は「40」から「25」へ下がります。

メリット②

対外的信用の向上

個人事業と株式会社の関係と同様、医院でも、個人事業か医療法人かにより外部から受ける信用度が異なりますし、銀行等からの融資も受けやすくなります。

メリット③

事業承継が簡単になる

個人事業の場合、相続が発生すると、個人診療所を廃止する必要が出てきます。相続人が引き継ぐ場合でも、その人が新たに診療所を開設しなければなりません。 医療法人であれば、理事長が死亡しても法人は継続するため、新たに理事長を選任するだけですみます。

事業承継が簡単になる

メリット④

分院経営における開設・管理者のための医療法人化

今後分院を展開しようとお考えの先生は100%医療法人に移行しておられます。その理由は、開設者を医療法人、管理者を分院長にお願いし、分院の勤務医のリスクを回避してあげる必要があるからです。従いまして、現在は分院を他人のドクターで開設することはなくなりました。しかし、分院が他府県のため、広域医療法人の届出が遅れる等の理由で個人の診療所にすることはあります。

コラム

MS法人設立のメリット

医療法人とは違うMS法人(メディカルサービス法人の略称)は、昔の有限会社に近いものです。医療法人とは異なる節税メリットがあります。

<個人診療所で、MS法人を設立する場合>

保険収入5,000万円超の先生が多い形態です。
自宅の経費化が可能になり、また生命保険料を経費とすることができます。
事務系スタッフはMS法人スタッフとし、管理業務を行っていただきます。
令夫人の給与は個人から専従者給与を出金するより、MS法人へ支払ってMS法人より役員給与を得る方が、安全性が高くなります。

<医療法人でMS法人を設立する場合>

  1. 生命保険料の経費化と財テク化ができる。生命保険はどちらでも加入できます。
  2. 不動産収入が多い場合、院長個人収入としないでMS法人収入とし、あるいは子供(中学以上)に売却したりする。
  3. 院長夫人が医療法人・MS法人と双方から退職金が受け取れます。退職金は1/2しか税金対象になりません。
  4. 医療法人にしているが、厚生年金問題や自宅の経費化など、MS法人も利用して節税したい先生に有利。

法人化の「デメリット」

法人化はメリットばかりではありません。
当然のことですが多少のデメリットも存在します。メリット・デメリットをしっかり把握した上で、法人化するかしないかの検討が大切となります。

デメリット①

会計帳簿の精度が求められる

法人化することで、今まで大雑把だった会計帳簿処理では認められなくなります。 会計処理が複雑となり、かつ、精度が求められるためです。 それに伴い、会計事務所の事務処理負担が増加するため、個人経営から法人になると大抵の場合、顧問料が増加します。

デメリット②

交際費に限度枠がつけられます

個人事業の時には交際費に限度枠はなく、事業に関連した飲食代等は全て経費になりましたが、医療法人化により交際費に限度枠が発生します。
接待交際費の上限は800万円(平成25年4月1日~平成26年3月31日に開始する事業年度)ですので、800万円を超える部分は全額否認されます。

デメリット③

各種コストが増加する

医療法人を設立するにもそれなりに費用がかかります。

  • 医療法人設立のための手数料
  • 各種手続きの費用(税務署・法務局・県庁等への手続き)
  • 会計事務所の顧問料の増加
  • 社会保険の加入

医療法人となることで、個人の時には任意加入であった社会保険(健康保険・厚生年金)が強制加入となります。 支払は、事業主とスタッフの労使折半となりますので、医院・スタッフともに金銭的な負担が増加します。

法人化をお考えの方へ

何をするにもベストな「タイミング」が存在します。 法人化のタイミングは「現在の売上高」「院長の将来設計」によって変わってきます。 将来、医院の規模をどうしたいのか、分院を展開するのか、現状維持で行くのかなどです。また、それに応じて「医療法人化」が先か、「MS法人を設立」が先かも異なります。

法人化をお考えの方へ

当事務所では、これまで多くの医療法人・MS法人設立に携わった経験があります。
医院情報を分析し、どのくらい節税効果が見込めるのか、設立するタイミングはいつがベストなのかを詳細な提案資料にてご提案させて頂きます。
お気軽にご相談くださいませ。