歯科経営 News Letter 【11号】

歯科経営コラム

歯科開業時の組織マネジメント

チーフコンサルタント・村上貴洋

組織マネジメント研究会で感じた違和感

先日、ある経営研究会に参加しました。テーマは一般企業、特にベンチャー企業の組織マネジメントだったのですが、内容が腑に落ちませんでした。違和感の理由を考えました。

一般企業は理念・ビジョン先行型

一般企業で考えます。一般企業の創業ステージでは、少数の従業員による組織のまとまりを生むのは経営者の理念・ビジョンです。動機付け要因として、経営者がそれらを頻度の高い直接コミュニケーションで従業員に伝えることで、「同志性」を形成し事業を推し進めます。ところが順調に事業が拡大すると、経営者への物理的負荷の集中と従業員増員によるコミュニケーションの希薄化により組織にひずみが生じます。これを受けて経営者の理念を伝達するためのリーダー育成や衛生要因に対応するための労務制度構築に着手してして次の成長段階に向かうのです。

歯科医院は衛生要因への着手が効果的

一方の歯科医院はどうでしょう。歯科医院の開業ステージにおいて理念・ビジョン先行のマネジメントで院内がまとまっているケースは少ないです。背景に歯科医院ならではの組織特性があります。院長を頂点とする歯科医師、歯科衛生士、歯科助手という明確なヒエラルキーが存在しているため、一般企業と比較して「同志性」の形成に時間を要するのです。このタイムラグの観点から考えると、歯科医院の開業時では衛生要因である労務体制の整備への着手がより効果的です。まず従業員が「生活できる」「一員として歓迎されている」と実感を持ち、その後に医院理念やビジョンの浸透が進むのです。

手が回りにくい分野だからこそ大事

先のヒエラルキー以外にも歯科医院は院長が経営者及び診療のメインプレイヤーとしての両立を求められる、もともとマネジメントの難しい組織形態と言えます。しかし、だからこそ診療と組織マネジメントにバランス良く注力している歯科医院は大きく発展する可能性が高いのです。

歯科衛生士コラム

滅菌と消毒

フリーランス歯科衛生士・佐藤厚子

コロナ禍で、各クリニックでは様々な対策をされている事と思います。患者さんも衛生面には敏感になっていると思われます。少しの漏れから大事にならないように気をつけたいものです。治療に使用するものは、滅菌、消毒されているのか、患者さんは見ています。ユニットの片づけは、患者さん目線で最後のチェックをしましょう。チェアの背中から見るのでは見えない汚れがあります。スピットン回りやチェアとスピットンの隙間、足元の床の部分などは見落としがちです。ユニット周りに落ちている髪の毛一本などは、低い位置から見たりすればわかるのですが。一人一人の意識で、安心していただける体制が整えられます。理想とするのは、自分の家族や大切な人を呼べるクリニックです。

医院経営コラム

承継、売却、それとも廃院?今こそ医院経営を見直そう

チーフコンサルタント・岩田義明

医療従事者のための情報サイト『Dentwave.com』によると、全国256医院へのアンケート結果から、2020年12月下旬時点で患者さんが減少した医院は約6割、増加したのは1割、変わらないのは3割でした。皆様のクリニックではいかがでしょうか。

コロナ融資の今が将来を考えるタイミング

当面の資金繰りを手当てするために、コロナ関連融資を受けられている歯科医院は多いと思います。低金利で一定期間は実質金利負担なし、しかも元本返済の据え置き期間があるのでメリットが大きく、私どもも融資の支援をしておりました。手元に現金があり、借入の返済が始まるまでの期間は、将来に向けて考え、設備・機械・人財への投資をする絶好の機会です。

将来から逆算して医院経営を見直す

いつになるかは分かりませんが、いずれ先生が引退を迎えるときが来ます。出口は①親族への承継、②売却(他人、勤務医)、そして③廃院です。承継と売却では、医院は継続していきますが、廃院は文字通り廃院です。医院には設備があり、スタッフがいて、通い続けてくれる患者さんがいます。何より、先生が心血注いできた医院です。継続させたいのであれば、引き継ぎたくなる、もしくは他人が買いたくなる医院にすることを考えてください。医院経営が、自分視点から他人視点へと変わります。

選ばれる医院へ

立地は変えらませんが、サービスや運営の仕組みは変えられます。患者さんに寄り添う優秀なスタッフ、チームワーク、スムーズな運営などは一朝一夕に作れないため、高く評価されます。選ばれる医院にするために、今何をするべきか考えてみましょう。

若手挑戦企画

DAは大変だよ!新人DA鈴木の奮闘記3

鈴木初弥

バレンタインデーに会社の同僚からチョコレートをもらってモテモテ気分のすずこと鈴木でございます。

前回までDAのお仕事の大変さを他業種と比較しながら書いていきましたが、今回のコラムではDAのお仕事の大変さである「覚えることの多さ」について比較ではなく、実務においてどの程度必要だと感じたかを具体的にお伝えします。

歯科の名称を覚えるだけでは一人前になれない

DA体験勤務初日、Drからの指示のもとアシストにつくので機材、薬品の名称などを覚えればよいと思っておりました。しかし、名称だけ覚えても役には立たない!Drからの指示があった後に考えて用意したら、その間Drは手を止めて私が用意するのを待っている状況でした。

DAこそ歯科の熟知が必要です

DAはDrがスムーズに迅速に治療を行えるようにアシストしなければいけません。実際、私がお世話になっていた医院のDAさん達は薬の効力、治療の内容また流れまでも理解しており、Drの次の動きを把握してアシストについておりました。Drからの指示があってから慌てて準備するのではなく、指示があった時には既に薬品や機材、セメントなどを渡せる状態になっております。 Drと同じ知識量とまではいかなくても、Drに合わせた動きができて次の予測ができるくらいの知識が必要だと感じました。

向上意欲がある方に外部講習等を!

本当に医院の戦力になってくれるDAさんは歯科について熟知しております。とある別の医院ではDAさんの説明で患者さんが自費を決められた例もございます。向上意欲があるDAさんが皆様の医院にいらっしゃいましたら、是非セミナーや外部講習等に行かせてあげてください。きっと、院長にとって頼もしい存在になってくれるでしょう。

会員ログイン

著者紹介

コンサルティング事業部
チーフコンサルタント
岩田 義明

チーフコンサルタント・
中小企業診断士
村上貴洋

コンサルティング事業部
鈴木 初弥

フリーランス歯科衛生士
佐藤厚子

歯科経営 News Letter

PAGE TOP