歯科経営 News Letter【5号】

歯科ワンポイント

歯科助手のキャリアを考える

チーフコンサルタント・中小企業診断士 村上貴洋

もし私が歯科医院で院長の次に全体が見える立場なのは誰か?と問われれば「歯科助手です」と答えます。待合室、受付、診療エリア、バックヤードのすべてのプロセスに関与していて、対患者との接点も多いからです。運営面で大きな役割を担っていると言って良いでしょう。私見ですが、他の職業と比較しても要求レベルの高い仕事だと思います。

一方で歯科助手の難しさはキャリアの発展性が見えにくいことにあります。歯科助手は入社して早くて3カ月、半年もすれば歯科助手としてはおよそ一人前になるでしょう。そして一人前になって約2年も過ぎればモチベーションが低下する傾向があります。仕事のマンネリ化のためです。歯科医師や歯科衛生士であれば自らの職業人としてのレベルアップをモチベーションとしますが、歯科助手は「一人前」の次の目標を設定しにくいのです。

そこで在籍年数が多い歯科助手には院長から働きかけて何かしらの目標を持つよう促していきましょう。代表的な選択肢は3つあります。①「歯科衛生士を目指す」 ②「受付・カウンセリングのエキスパートを目指す」 ③「事務長を目指す」です。特に③は全体が見える歯科助手だからこその選択肢です。医院として衛生士学校や外部研修の補助といったサポートも実施すれば本人はもちろん、その後に続く後輩の歯科助手のモチベーションアップも期待できます。

院長の医院にも頼りになる歯科助手がいらっしゃることと思います。医院の財産ですからキャリア形成に配慮して活躍し続けられる環境作りを目指しましょう。

 

歯科医院経営 労務のお話

コロナの影響下での賞与はどうしたらよいか?

コンサルティング事業部チーフコンサルタント 岩田 義明

今年はコロナの影響で、歯科医院では業績が前年割れとなっている所がほとんどです。3月後半から5月までの間は前年を大きく割り込み、6月以降には徐々に回復基調に戻っているようです。ただ、前年同月を超えるレベルにまでは達していない歯科医院が多いです。

このような場合に時に、賞与の支給をどうしたらよいでしょうか?賞与は、企業業績に応じて支給するもの。支給に義務はありません。一方で、賞与支給がないとわかれば、退職するスタッフも出てくるかもしれません。それでは賞与を例年より減額せざる終えない場合、どのようにスタッフに伝えたらよいでしょうか。

ポイントは日ごろからの情報共有です。

① クリニックの経営状況をスタッフにも伝えているか
② 賞与はクリニックの業績次第であることを伝えているか
③ コロナの影響により、場合によっては、賞与は支給できないことを伝えているか

このようなことをスタッフにも伝えていれば、賞与が通常よりも少なかったとしても、経営が厳しい中で賞与を出してくれたと受け止めるスタッフは多いはずです。もし、何も伝えていなければ、たとえ経営者が借り入れをして通常通り支給したとしても、「当たり前」と考えるだけです。日頃情報を伝えているか、伝わっているかにより、スタッフの受け止め方が変わってくるのです。

 

歯科衛生士コラム

失敗をごまかさない

フリーランス歯科衛生士 佐藤厚子

誰にでも失敗はあります。いつも患者さんに接している歯科衛生士は治療の失敗を分かってしまいます。

隠さずに「今回ちょっとうまくいかなかったかも」などと言ってくれたら、上手に患者さんに説明するようにします。ですから、ごまかして、適当な理由を患者さんに言わそうとするのは止めていただきたいのです。本当に辛いことなので、患者さんに本当のことを言ってしまいたくなります。

私たちは先生を尊敬し、協力したいといつも考えています。だからこそ、潔く患者さんに説明し、新たな治療方法を提案して欲しいです。そんな先生を私たちは応援し、共にやって行きたいと思っているのです。

若手挑戦企画

新宿レポート「今更聞けない補助金と助成金の違い

コンサルティング事業部 鈴木 初弥

梅雨も明け、猛暑が続くこの頃。暑さとコロナの影響で休日は家に引きこもり生活…その結果、体重増加で長時間の正座が厳しくなってきた鈴木ことすずでございます。

さて、今回のコラムでは補助金と助成金の違いについて取り上げていきたいと思います。皆様も今回のコロナの影響で助成金と補助金の申請をされたのではないでしょうか。ですが、補助金と助成金の明確な違いを説明するとなると少し迷ってしまう方もいるのかと思います。私もその一人でした…。そこで今更聞けない補助金と助成金の違いをまとめさせていただきました!

助成金 補助金
なし 返済義務 なし
一定の条件を満たすことで支給される 審査 書類や要件を満たしていても審査が通らないと支給されない
主に厚生労働省 管轄 主に経済産業省または地方自治体
後払い 支払い時期 後払い
ある目的を実現するため 目的 「補助」するため
※不足していえるお金を補う

このように、審査の有無、目的、管轄などの違いがあります。補助金に関しては費用など不足しているお金を補うというものなので、その不足分のお金を補うことで「どのようなニーズを満たして将来的に展望が持てるか」など、見通しが立ちそうな内容でなければ審査が通らないことになります。つまり、「この事業は社会の役に立ち、成長する見込みがある」と判断されれば認められ、かかった費用の一部が補助されます。そのために事業計画書が必須であり、これに懸かっていると言っても過言ではないでしょう。また、助成金はある目的を実現するために交付されるものです。雇用関係助成金等は労働環境を改善させるためにその努力に見合ったお金をもらえるといったものになります。そのため、あらゆる環境を整えていくと下りるのが助成金の特徴になっております。

参考文献:
https://www.biz.ne.jp/matome/2002137/
・関東財務局補助金の右腕サービス紹介資料

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著者紹介

コンサルティング事業部
チーフコンサルタント
岩田 義明

チーフコンサルタント・
中小企業診断士
村上貴洋

コンサルティング事業部
鈴木 初弥

フリーランス歯科衛生士
佐藤厚子

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