歯科経営コラム
稼働率から見た診療件数の目安とは
チーフコンサルタント・村上貴洋
歯科ではマイナーな指標、稼働率
経営指標の一つに稼働率があります。生産性の指標でですが、歯科では注目されることは少ないようです。歯科の稼働率とは、「実際の診療時間/診療可能な全時間」のことで、理論上のベストな稼働率は100%ですが、実際はそう単純ではありません。
稼働率は高くても低くても問題がある
適正なマンパワーを確保している前提として、100%に近い稼働率とは診療の間に全く隙間がない状態です。これは業務面ではミスやイレギュラーに対応するためのバッファ時間が無いことを意味し、致命的なエラーや業務品質の低下を招きかねません。また従業員面においても疲弊やストレスによる退職リスクが高まります。
もちろん稼働率が低いのも問題です。集患力の不足や診療体制に余力がある状態といえます。
稼働率が低い | 稼働率が高い |
・集患力が不足している
・診療体制に余力がある |
・業務品質の低下、エラー発生
・疲弊による従業員の退職リスク |
ではどの程度の稼働率を目標とすれば良いのでしょうか?
稼働率60%~70% = チェア当たりの診療件数10件~12件 を目標に
答えは60%~70%です。もしかしたら「30%~40%も余裕があるのか?」と感じるかもしれません。分かりやすくするために割合から診療件数に置き換えて考えてみましょう。
標準の診療枠が30分で8時間診療と考えると、チェア1台当たりの診療件数は1日最大16件です。この設定によれば、16件の60%が9.6件、70%が11.2件、となります。
つまりチェア1台当たりの診療件数の目標値は10~12件となります。医院のチェア台数が3台なら30件~36件、4台なら40~48件、5台なら50件~60件です。院長・勤務医・DHチェアの診療件数の合計と照らし合わせると、多くの先生方にとってこの件数は目標値として納得できるのではないでしょうか。
稼働を知ると経営課題も見えてくる
10件未満であれば、「集患の強化」や「診療体制の余力をどう使うか?」があると考えられますし、12件超なら業務や従業員の疲弊について考慮する必要があります。10~12件なら診療体制と実績のバランスをいかに維持するかが経営テーマとなるでしょう。
労働関連コラム
同一労働同一賃金、2021年4月スタート
チーフコンサルタント・岩田義明
2021年4月には、中小企業にも同一労働同一賃金(パートタイム・有期雇用労働法改定)が適用されます。エン・ジャパンの2021年版の調査によると、中小企業で同一労働同一賃金への対応が済んでいるのは3割弱にとどまっています。
改正のポイント
1 不合理な待遇差の禁止(同一労働賃金)
同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されます。
2 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、説明をしなければなりません。
3 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続 (行政ADR)整備
都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行い、「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」についても対象となります。
義務はあるが、罰則は設けられていない
「パートタイム労働法」は直接契約の内容を規制したり、罰則によってその内容を強制したりする法律ではありません。法施行(2021年4月)までに準備するのは事業主の義務ですが、罰則は設けられていません。 だからと言って、 そのまま放置すると労働者から訴えられる可能性はあります。また、事業主に対して、労働局長による報告の徴収、助言、指導および勧告が定められており、報告拒否や虚偽報告に対しては過料、勧告に従わない事業主の公表が規定されています。
これから「同一労働同一賃金」に対応するには
厚生労働省のホームページに取り組み手順書が載っています。
1 労働者の雇用形態を確認しましょう
2 各雇用形態の待遇の状況を確認しましょう
3 待遇に違いがある場合、違いを設けている理由を確認しましょう
4 上記②と③で、待遇に違いがあった場合、その違いが「不合理ではない」ことを説明できる
ように整理しましょう
参考:取り組み手順書 URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000656094.pdf
歯科衛生士コラム
姿勢
フリーランス歯科衛生士・佐藤厚子
ある歯科医院では、患者さんが通る通路と並行して作業台があり、その上にパソコンや電話が置いてあり、スタッフが使っています。電話をとる際に、肘をついて、腰を突き出した状態で電話応対しているスタッフがいると、大変目につきます。患者さんに対してお尻を向けおり、患者さんから丸見えとなる場所なので、良い姿勢でいてもらいたいと思います。先生は、他の事ができているので大目に見ていると思われます。お尻を向けているのは少数派なのですが、悪いと思っていないので、注意しないと治りません。本人のためにも、是非一度注意してあげて欲しいと思います。
若手挑戦企画
DAは大変だよ︕新人DA鈴⽊の奮闘記4
鈴木初弥
DA体験勤務の休憩中、たくさんのお菓子をスタッフの方からいただいて通勤バックがパンパンになったすずこと鈴木でございます。
前回までDAのお仕事の大変さについてお伝えしてきました。DA体験勤務では初めてのことばかりで大変さを感じましたが、もっと頑張ろうとモチベーションが上がったこともございました。今回のニュースレターでは新人DAのモチベーションの源についてお伝えしていきます。モチベーションの源は主に2つございます。
院長先生に褒められる
1つ目は院長先生に褒めてもらえることです。DA体験勤務でアシストをしておりましたが、なかなか良いタイミングで先生にセメントを渡せずにおりました。周りのDAさんは当たり前のようにやっているなか、新人ではありますが情けなく自信をなくしました。なんとかできるようにとアシストについている中、ある日院長先生が「セメント渡せるようになってきたじゃん!」と言って下さいました。完璧に綺麗に渡せたわけではございません。前より少し足手まといにならずに済んだだけです。ですが、院長先生は僅かな私の成長を見逃さず褒めて下さいました。その時に、今よりもっと出来るようになりたい!また褒められたい!とモチベーションが上がりました。
医院のスタッフに認めてもらう
2つ目は医院のスタッフに認められることです。手が空いた時間で、麻酔注射のセットをその日に必要だと想定される分用意しました。その時に医院のスタッフさんに「用意してくれたんだ!鈴木さんがいてくれて助かる。」と言っていただきました。正直その時が一番この医院の役に立ちたいと思いました。次の日の出勤の足取りが軽くなり、もっと今の私で医院のためにできることはないかと考えるのが楽しくなりモチベーションが上がりました。
まずは院長先生がスタッフを褒めるところから
院長先生に褒めてもらえるともっと出来るようになりたいと思い、スタッフに認めてもらえるともっと医院の役に立ちたいと思います。しかし、初めからそのような風土になれるわけではありません。スタッフは院長先生の背中を見ています。まずは院長先生から褒める、認めることをして下さい。それだけで、医院の雰囲気は変わり新人スタッフのモチベーションが上がる環境が築けるのではないでしょうか。