歯科経営 News Letter 【13号】

新人教育コラム

仕事の進め方、新人にどう伝える?

チーフコンサルタント・村上貴洋

新人教育で伝えたい仕事の進め方

 新しいスタッフを迎える時期になりました。新人教育を進める上で押さえておきたいポイントがあります。それは「仕事の取り組み方や考え方を伝えるということです。しかしながらスキルや知識の教育と比較して、考え方を教育することは難しいものです。そこで今回は一つのアプローチ例としてQCDをご紹介します

仕事の進め方を「QCD」で考える

 QCDとは本来メーカーなどの生産管理で使われるフレームワークです。QCDは「Quality:品質 Cost:コスト Delivery:納期」 の頭文字をとったもので、生産管理における極めて重要な3要素を示しています。特徴は、この3要素の何か一つを優先すると他の2つに影響がでるという「トレードオフ」の関係にあります。

仕事の進め方とは複数の要素を折り合わせること

 品質は高い方が良い。コストは低い方が良い。納期は早い方が良い。各要素を単体で見れば誰でも簡単に答えを出せます。では3要素全体で考えるとどうでしょうか?「品質が高く、コストは低く、納期が早い」というのは実現不可能です。例えば院長から資料作りの仕事を求められたとして、今から2時間後に提出して欲しいという納期を最優先に設定された仕事であれば、「品質はテキスト主体で、コストは1人分の工数」かもしれませんし、「品質は外部に出せるレベルのもので、コストは3人分の工数」かもしれません。このように仕事を進める上ではこのトレードオフな複数の要素をどう折り合わせるかが大切なのです。

折り合わせるために報連相は欠かせない

 折り合わせには重要なポイントがあります。折り合わせについて、依頼された自分が勝手に判断するのではなく、院長や患者など仕事を依頼した側に合わせるということです。特に社会人経験が少ない社員はこのことを理解せずに仕事を進めるために、「納期が早いのに必要以上の丁寧さで対応しようとして納期に間に合わなかった」や「ミスが許されない仕事で自身も工数が足りないのに、上司や同僚のマンパワーを借りようとせずに致命的なミスをする」のようなことが起きやすいのです。だからこそ仕事の依頼側とのコミュニケーション、つまり報連相が欠かせないのです。

やる気のない新人はいない

 新卒でも中途でも、新人として新しい環境に加わる時にやる気のない人間はいません。職場に受け入れられるようにしよう、成果を出して貢献しようと高いモチベーションを持っています。受け入れ側として可能な限り、新人を教育して成長につなげましょう。

新人教育コラム

新人の定着のためにできる事

チーフコンサルタント・岩田義明

 4月に入り、新人を迎え入れているクリニックも多数あると思います。新人の定着にお悩みの先生もいらっしゃることでしょう。

最初は「安心させる」ことが大事です

 入社したばかりの新人は、不安でいっぱいです。一度落ち込むと立ち直れなくなり、退職に至るケースもあります。それを防ぐためには、「職場に本人の居場所がある」ことを分かるようにしましょう。具体的には、入社時に本人のロッカー・制服・シューズなどを用意しておきます。また、スタッフ全員が新人の名前を知っておき、声を掛けるようにします。歓迎されていることが新人にもわかるようにし、自分の居場所があると安心させます。

義務を教える前にやっておきたいこと

 入社したら、戦力化するためにすぐに業務を教えたくなるものです。ただ、業務を教える前に、医療機関で働くことの意味や医院の診療方針などを伝えることをお勧めします。院長の考え方や、患者さんからスタッフが感謝されたエピソードなどを伝えてはいかがでしょうか。クリニックや院長・スタッフに興味を持ってもらうのです。

新人の壁を克服するために

業務を教えられても、できないことばかり

人間関係がうまく築けていない

他の人と比較して、自分は能力が足らないのかも

自分は院長から評価されていない

 このように壁に新人は必ずぶつかり、ショックを受けます。ただ、クリニックが好き、仕事が好きといった動機があれば、本人自身で克服できる可能性は高まります。

新人の良いところを見つけて、褒める

成功体験も大切です。新人の良いところを見つけ褒めましょう。

患者さんに普通に会話ができる

・先回りして準備ができる

・細かな作業を長時間嫌がらずにできる

・・・など強みは様々です。そこを見つけて褒めましょう。本人は自信がつき、自分で乗り越える可能性が高まります。

歯科衛生士コラム

姿勢

フリーランス歯科衛生士・佐藤厚子

 歯科医師や歯科衛生士は、仕事柄長く同じ姿勢をとることが多いと思います。座って前かがみの姿勢は椎間板に一番負担がかかります。多くの歯科医師や歯科衛生士は、ユニットの位置が高い、肘が上がる、覗き込んで背中が曲がるなど、姿勢が崩れています。このような状態で仕事を続けていると、体にとても負担がかかるだけでなく、治療もやりにくくなります。

 治療部位を覗き込まなくてもよく見える位置にポジションを合わせることで、視野が確保され、短時間で確実な治療を行うことができます。ユニットやスツールの高さを調整する、上下顎によってヘッドレストの向きを変えるなどを、面倒くさがらずに行いましょう。

 正しい姿勢、大事です。

若手挑戦企画

DAが活躍する医院で勤務してみて

鈴木初弥

 4月で27歳になり、そろそろ落ち着こうと思ったすずこと鈴木でございます。さてさて、連載しているDA体験コラムも今回が最終回となります。

 初めはDAのお仕事をDrのお手伝い程度に考えていましたが、DA体験勤務の最終日、「この医院でもっと働きたい」と思いました。それは、資格を持ち直接売上をあげるDrやDHだけではなくDAも医院の一員として貢献していると実感できる医院であることと、しっかりスタッフの仕事への姿勢をみて成長の機会を与えくれる院長先生がいたからです。

医院の一員として貢献していると実感できる

 医院にはチーフDAが2人いました。そのうちの1人は外部講習等に率先して参加し、他の医院の良い点などを持ち帰り、医院で院長先生と共に院内の組織作りや新たな習慣作りを提案して、自らが模範となりながら他のスタッフに働きかけていました。に院内の組織作りや新たな習慣作りを提案して、自らが模範となりながら他のスタッフに働きかけていました。私もその取り組みに加わることで、医院の一員として貢献している実感を持つことができましたし、より良い変化をし続けるこの医院で働きたいと思いました。

スタッフの仕事への姿勢をみて、機会を惜しみなく与える

 院長先生はその人の好き嫌いではなく、その人の仕事への姿勢をみて成長の機会を与えていました。もう1人のチーフDAも講習に参加したいと申し出たら院長先生は快く承諾し、参加させました。その上、講習で得た知識を活かせる仕事を任せています。スタッフの仕事への姿勢を見てくれて、それに合った仕事を任せてくれる院長先生のもとでなら、今後のキャリアアップも考えられると感じこの医院で働きたいという意欲が湧きました。自分も医院の一員として貢献していると実感でき、純粋スタッフの仕事への姿勢を見てくれて成長の機会を与えてくれるからこそ、この医院でDAとして働きたいと思うのだと感じました。

 これでDA体験勤務コラムは終わりますが、私にとってDA体験勤務は歯科医院を知るためではなく歯科医院という組織についてどう考えていくかの土台ができた経験でした。  

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著者紹介

コンサルティング事業部
チーフコンサルタント
岩田 義明

チーフコンサルタント・
中小企業診断士
村上貴洋

コンサルティング事業部
鈴木 初弥

フリーランス歯科衛生士
佐藤厚子

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